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コムデギャルソンが創設から今年で40年を迎えた。常に新しい創造性を打ち出すことで前衛派の旗手としての役割も果たし続けている。長引く不況で一部の低価格ブランドを除いて売り上げが低迷する中、コムデギャルソンはその反骨精神をあえて示すかのような策を執と打っている。突破口は開けるのか?デザイナー兼経営者としてブランドを率いる川久保玲に聞いた。(編集委員・高橋牧子) ――服を売らないアートスペースを大阪で8月に、博物館のような店を東京で11月に開いた。 服以外のものにも少し考えていることをプラスして「ああ、ここの服はこういうものなんだ」と思ってもらえる場にしたかったのです。遠回りですが服を買うのにはそんな回路や順番があってもいいと思う。私にとって表現の場や方法論の中で服はその一部にすぎず、店もその一つなのです。効率的に売ることだけを考えているとファッションの先がどんどん見えなくなる。そういう状況の中で、1人であがいている感じですが。 ――最近の安さ、早さを求める傾向への抵抗でも? 若い人たちが考えたり作ったりする楽しみや必要性を忘れていくのが心配なのです。たとえば、ジーンズ1本が何百円なんてありえない。どこかの工程で誰かが泣いているかもしれないのに、安い服を着ていていいのか。いい物には人の手も時間も努力も必要だからどうしても高くなる。いい物は高いという価値観も残って欲しいのです。 ――H&Mやルイ・ヴィトンとのコラボや、価格を抑えた「エマージェンシーブランド」と、ハッとするような企画を執と。 何かいつも、新しいこと、強いものをと思っていて、それを続けていないと次が生まれてこないのです。自分が活動的に何か新しい物を生み出せば、それについて何かを感じたり、元気が出たりする方もいらっしゃるでしょうし、それがこの世の中を変えていくことに少しでもつながるならと思うからです。 ――レディースとメンズだけでも年4回の新作発表。その創作の最初の手がかりは? ほとんど何もない、何か海の中の一つの石を探すような感じですね。ずっと考えているうちに何かこうぽつんぽつんと浮かんできて、ある日それがフォーカスされてテーマらしくなるのがパリ・コレのほんの2、3週間前。いつもその途中で3回ほど、どうしようもなく不安になる。でも誰でも、何を作る人でも同じですよね。そう思ってなんとか耐えています。 ――ジュンヤ・ワタナベとタオを含めた3ブランドの共存は、パリ・コレでもまれなこと。 3人ともが「前回よりも少しでも先に」と思って、同じ会社の中でそれぞれ自分と戦っていることがエネルギーになっているのかもしれません。でも、創造性で頑張り過ぎると売れなくなる、という微妙な問題もあるし……。結果的に支え合っていることで強くなれるとは思っていますけれど。 ――不況下で経営難に陥るブランドと違う点とは。 日々数字のチェックをしていて、何か手当ての必要を感じたらすぐに手を打つ。その早さと、一方で目の前のことだけでなく長いサイクルで対応しなければならないことを常に考えています。売り上げにはプラスになってもコムデギャルソンらしくないことはしない、というような。 ――反骨精神は、何に対して? 自由に生きていきたい、皆が幸福でなければならないと思っても、そうできない世の中の仕組みがあります。それに、人間はそれぞれ生まれてきても決して皆同じじゃないし、同じものをもらってないわけですよね。そういうどうにもならない不平等の中でも、自分は自分だって頑張って生きていかなきゃならない辛(つら)さがある。不条理って言ったら言い過ぎかしらね。子供の頃からずっとそういうものに怒りを感じてきました。その気持ちを今後も持ち続けたい。 ――いま社会が大きく変わる中で、正統に対する前衛的な創造ということの意味も変わってくるのでは? 私のしていることはずっと同じです。周りが少しずつ変わって、その時々の社会やムーブメントに合わせて語られてきただけ。たとえば、私は80年代からライダースジャケットを着ていましたし、いつも同じスタイル。私自身の在りようや気持ちの中は何も変わっていないし、これからも変えるつもりはありません。